独身アラフォー非モテ男の婚活日誌

友達なし彼女なしのアラフォー非モテ男による婚活活動日誌

第十七話 オタク婚活パーティーでの出来事(その1)

それから婚活パーティー、婚活イベント通いを続けた。実質、婚活が趣味と言っても過言では無い状態だった。ゴールデンウィークも夏休みも参加できるイベントがあれば参加した。ゴールデンウィーク中のイベントで司会者が「みなさん、連休中はどこかへ行かれるんですか?」と発言した際には参加者はみんな黙り込んでしまった。当たり前だ。予定があれば婚活なんかしてないし、そもそも一緒に行く相手を見つけるために婚活をしているのだ。とにかくいろんなものにガリガリと精神力が削られながらも婚活を続けた。
 
そんな婚活三昧の日々の中でちょっと変わった体験をしたことがあった。
 
(変な三角関係)その日はいつものようにアエルラの回転寿しが終わった。ここのイベントでは最初のフリータイムは女性から声をかけるのだが、十数回参加しているが、遠坂さん以外から声をかけられたことはなかった。この日も誰からも声をかけられなかったので、自分からフリーの女性に声をかけた。二回目も適当に声をかけて、三回目も同じように声をかけて今日も収穫ゼロかななどと考えていたら、ちょっと違う事が起きた。三回目に声をかけた女性が露骨に嫌な顔をしたのだ。一瞬だけ。まあ、なんといか、ゴメンね。自分みたいなのが声かけちゃって。と心の中で謝った。たまにあるのだ。愛想がいい女性だと愛想を好意と勘違いしてしまうことが。その後、すぐに表情が戻ったのと、今更、別の人に変更するのも変なので、そのまま、二人で向かい合ってイスに座った。とりあえず、当たり障りの無い話をして10分間をやり過ごそうかと考えていたら、「すみません、ここよろしいですか?」と男性が一人割り込んできた。何となく雰囲気が田代まさしに似ていた。ヒゲとメガネとちょいワルっぽい感じがする。いつもならライバル登場と思うところだったが、この時は女性に嫌われている事が分かっていたので、良かったと思った。女性もワガママっぽい感じがするので、案外この二人はおにあいかもしれないか。そして、テーブルに3人分のプロフィールシートを並べて無難に進撃とかのアニメの話を始めた。しばらくして強烈な違和感を感じた。
違和感の一つは、女性が正面にいる自分をまったく見ないのだ。話をしている時も、話を聞いている時も、つねに視線は田代まさしだった。まあ、そこまで露骨に態度に表すのはどうかと思うのだけれど、逆に正直でいいのかもしれない。もう一つの違和感は田代まさしだった。こいつがずっと自分を見つめているのだ。おかしいだろう。睨むでもなく普通にこっちのほうをじっと見ている。そこには世にも奇妙な三角関係が発生していた。自分は基本女性を見ながら話をし時々チラッチラッと田代まさしを見た。女性は正面の自分を避けるように斜め前の田代まさしを見ていた。田代まさしはじっと自分を見ていた。

 

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相変わらず話題はアニメの話が続いていたが、自分の頭の中は目の前の状況でパニックだった。田代まさしが女性の方を見て話をすれば違和感は無くなるのだが、自分の立場上、目の前の女性と男性をくっつけるようなことをしたくなかった。でも女性は明らかに自分を避けているので、この際、何をしても自分の状況は変わらないように思える。でも、後数分でフリータイムは終わる。時間切れまで待つのも悪く無い。相変わらず女性は田代まさしを、田代まさしは自分を見ていた。そして田代まさしが女性を見ない理由や自分の立場や残り時間を考えた。そして、フリータイムは終わった。
結局、この日も自分は誰ともカップルになれなかった。ちなみにあの女性と田代まさしもカップルにならなかったようだ。未だにあの三角関係の謎は解けていないし、永遠に解けることはないだろう。

第十六話 再スタート

とりあえず「クチャラー」をググってみた。

http://jin115.com/archives/52091177.html

・口を開けて食べ物を咀嚼しクチャクチャ音をさせる人

・本人は無自覚

・指摘したり直すように言うと逆ギレする

・とにかく不快に思われている

・直した人もいる

おおよそ想像通りの内容だった。女性の顔を見て話せなかったのも慣れで何とかなったのだから、これも何とかしよう。また、彼女ができた時に同じ原因で嫌われることのないように、可及的速やかに(かきゅうてきすみやかに)克服する必要がある。そう例えば、今すぐにでも。

その後、意識して口を閉じてご飯を食べてみたが、口が開いている時との違いがまったく分からなかった。一人暮らしだし、友達もいないので、咀嚼音が漏れていないかを聞く相手がいない。スマホで録音するのもどうかと思うし。仕方がないので、確認は後回しにして、口を閉じて食べる習慣をつけることにした。

確かにクチャラーは大きな問題だが、根本的な問題は別にある気がしていた。自慢じゃないが自分にはいろいろな欠点がある。まあ、クチャラーは想定外だったが、それ以外にもイビキはうるさいし(こっちは家族や同級生からよく言われていた)、方向音痴だし、ペーパードライバーだし、料理もできない。スポーツもダメで特技もない。改めて考えてみると遠坂さんとこれ以上付き合ったとしても何か別の理由で振られてていたと思う。そう、彼女は自分のことが好きではなかったのだ。ただ、これと言って悪い条件がなかったから何度かデートしただけで、ひとつでも欠点が見つかれば、サヨナラなのだ。それこそ自分には欠点なんかいくらでもあるのだから結末は分かっている。

世の中の恋人同士とか夫婦はどうやって何年も付き合い続けられるんだろうか?どんな人間だって欠点の一つくらいはあるだろう。どうやって相手に許容してもらっているんだろうか。逆にどうやって相手の欠点を許容しているんだろうか。お互い「好き」になればいいんだろうか。どうやったら「好き」になってもらえるんだろうか。

悩んでいても仕方が無いので、行動に移すことにした。結構な時間とお金がかかってしまったが高い授業料と思うことにした。たった数回の婚活パーティーで上手くいくほど世の中は甘くなかったのだ。

とりあえず、週末は婚活パーティーに参加することにした。オタク系婚活パーティーのアエルラとシングル、そしてイベント合コンの4seenを組み合わせれば毎週末に活動できそうだった。オーネットとかの結婚相談所はお金がかかるだけで余りいいとは思えなかった。相手の身元は相談所がチェックしてるだろうからあまり変な人はいないのかもしれないが、結局、相手を判断するのは自分だろう。また、メールを使ったネット婚活にも興味はなかった。メールやプロフィールを見ても相手のことも自分のことも分からないし、いざ、会ってみてガッカリとかになったらそれまでのやり取りが無駄になってしまう。とにかく、自分は結婚を希望している独身女性と毎週会えればそれでよかった。

(第十六話 おわり)

第十五話 そして振り出しへ(その1)

遠坂さんが彼女になった日から遠坂さんが音信不通になった。メールの返事がまったく来なくなってしまった。最後に会ってから、一週間後、電話をかけようかと考えていた頃にようやく返事が来た。体調が悪くて会えないので申し訳ないから返事をしなかったとい内容だった。詳しくはよくわからないが、心配してしまうので返事は欲しい。元気になったらまた連絡をくれるそうだ。 英会話に行った時、メリケンからガールフレンドは元気かと聞かれたので、調子が悪くて最近会えていないと言うと、それは振られたんだよと言われた。自分でも自信がなかったので否定できなかった。辛い。 それから一ヶ月後、もしかしたら、やっぱり振られたかもと諦め始めた頃に、遠坂さんからメールが来た。来週は久しぶりにデートだ。

第十五話 そして振り出しへ(その2)

久しぶりのデートは遠坂さんの希望で回転寿しを食べることにした。体調はすっかり良くなったそうで、見た目も元気そうだった。何の病気かを聞いたら、聞いたことのない長いカタカナ名を言われた。まあ、とにかく元気になって良かった。お寿司も美味しい。東京の回転寿しは安いところだとネタが小さく醤油をつけるとネタが落ちてしまうので嫌いだった。でも、今日のところはちゃんとした握り寿司だった。まあ、その分、高いのだが。黙々と寿司を食べていたら、突然、遠坂さんがキツイ声で「ウルサイ!」と言った。何事かと、微動だにせずに固まっていたら、「食べてる時、口が開いてるからクチャクチャ音がしてウルサイの。前にも注意したのに全然直ってないのね!」と言われた。そんな話は初耳だった。いや、20年以上前に、高校で一度言われたことがある。遠坂さんに言われたことはない、ハズだ。その場は反論せずに気をつけると言ってなだめた。その後は機嫌も直っていつも通りの遠坂さんになった。 その日のご飯は快気祝いということでおごることにした。その日もいつも通りに駅まで歩いて、そこで別れた。 数日後、来週のデートのメールを送ったら、いつもと違うメールが返ってきた。それは、クチャラーは治らない、クチャラーとは付き合えない、という内容だった。何度かメールを送ったが、それ以降、二度と返事はなかった。 また、振り出しに戻った。そこには40才の非モテ独身男(カノジョいない歴10分くらい)がいた。 (第十五話 おわり)

閑話休題 その十一(告白)

サトータロー役の辺野々々・ローロ・茂平次(へのへの  ろーろ  もへじ)です。

私は小中高と共学だったのでほぼ毎日同い年の異性と同じ教室で過ごしていました。今の男性ばかりの職場と比べると夢のような時代です。ところが当時はまったくそんな風に考えたことすらなく学校はただただ苦痛でした。

1クラスは約40人で半分の20人は女子なので可愛い子の一人や二人はいたのですが、自分とはまったく接点がありませんでした。女子と会話した記憶がありません。休み時間は基本、本を読んでいた気がします。

ネットの記事でなど、モテないと言ってる奴は何回告白したのか?何回振られたのか?という言い回しを見たことがありますが、ほとんど女子と接点がないのに「好き」になるはずがないし、見た目が可愛いからというだけでキモい男子から告白されてら相手もショックなのではと思います。

同じ理由でラブレターを出す感覚も分かりません。そういう手紙を出すということは、相手とそれほど親しくないと考えられますが、親しくないのに好きになるっていうのが分かりません。

マンガやアニメやゲームではあまり面識のない相手に「告白」するシーンが定番ですが、あれは不自然ですし現実的でないと今は思います。今はそう思うんですが、学生時代はそうは思っておらず、ブサメンでなければ「告白」をきっかけに女子と付き合ったりデートしたりできると考えていました。順序が逆というかおかしかったんです。

■実際

知り合う→(みんなで)遊ぶ→(ふたりで)遊ぶ、デート→告白→付き合う

■マンガやアニメやゲームからの思い込み

知り合う→好きになる→相手を想う→告白→付き合う→デート

つまり、告白を成功させるために重要なのは事前の十分な根回しということになります。自分がどんなに相手が好きかはどうでもよくて、相手が自分のことをどれだけ気に入ってるか、または興味を持っているかが全てな訳です。たとえイケメンでも根回しゼロでの告白はリスクが高いですが、その場合は普通に友達になったりナンパしたりといろいろ手はあるでしょう。ブサメンはルックスが悪い上に社交性も低いので無理な個人プレーに走りがちで、ストーカーや変な人に思われかねません。

運悪く素敵な出会いに恵まれなかった自分は、いつも運命的な出会い(女の子が空から降ってきたり、訪ねてきたり、許嫁が現れたり、等々)を待ってしまっていました。まあ、待っていなくても、男でも女でもみんなで遊ぶ機会がなかったので結果は変わらなかった気がします。あの頃はただ女子と遊んでみたかっただけなのですが。女子と遊ぶには「告白」を成功させなければならないと思い込んでいたので一人で絶望してました。

婚活してるとこれまでは考えられなかったぐらいたくさんの女性と話しができます。できますが、現実の厳しさも目の当たりにします。イケメンはモテるし、そうじゃなければモテません。毎週、アプローチカードという名の「告白」と撃沈の繰り返し。最初は落ち込みますが繰り返してると慣れてもきます。それが日常になります。

第十四話 はじめてのカノジョ (その3)

あらかじめ食べログで探しておいたお店のひとつの串焼き屋さんに入った。つくねと日本酒が売りらしい。飲み物を注文した後、適当につくねや串焼きを何本か頼んだ。最近、お店での注文にも慣れてきた気がする。その時、遠坂さんがおもむろに「そろそろ、どうするか決めませんか?」と言った。うーん、どういう意味だろう。この後の予定だろうか。明日は休みなので、多少遅くなっても平気なのだが。それとも来週の予定だろうか。今日は水族館だったから、次は動物園かな。それじゃ、安易すぎるか。遊園地とかもいいかも。天気が悪ければ、映画でもいいし。でもカラオケは避けたい。音痴はそれを聴かされる人だけでなく、当人も不快にさせるからだ。でも、遠坂さんと狭い個室で二人きりというのは、魅力的ではある。目の前では遠坂さんがじっとこっちを見ている。返事を待っているのだ。何か言わないといけない。やっとのことで「何をでしょう?」と言った。その後、遠坂さんからお説教をされてしまった。自分たちは婚活パーティーで出会って何度かデートしただけであること。お互いの目的は結婚なのだから、早く付き合うかどうかを決めて、ダメなら別の人を探さないといけないこと。確かにそうだ。それで、自分としては遠坂さんと付き合いたいと一生懸命説明した。自分にはこれと言って特技や長所はないし欠点ばかりだが悪いところは直すと言った。一応、働いているし人並みの収入もあるから、もし、結婚することになったら専業主婦でも生活できるし、もし、婿養子とか何か条件があるなら、できるかどうか考えると言った。遠坂さんは「佐藤さんが真面目なのは今までのデートで十分分かりました。お付き合いしましょう。そもそも、付き合う気がないならここにいませんよ。」と言った。この時、オレにはじめてカノジョができた。 その後、お腹いっぱい串焼きを食べて店を出た。しばらく歩いた後、勇気を出してずっと気になっていたことを口に出した。 「あのー、手をつないでもいいですか?」 「・・・。」 遠坂さんは手を出してくれたので、その手を握った。何か少し汗ばんでいて思っていたのと違った。そのまま駅までのほんの短い間、手をつないで歩いたが、遠坂さんは力を抜いていて、自分が一方的に手を握っている感じだった。アニメとかマンガなら、手をつないだ途端、ハートマークが湧いてきて幸せでラブラブモードになるはずなのに、現実はえらく素っ気ないものだった。 駅に着いた後、遠坂さんとお別れした。今までと変わらないやりとりだったが、二人は付き合っているのだからカレシ・カノジョの関係のハズだ。まだ、手をつないだだけだから、恋人同士とは言えないが、これから少しづつ進めていけばいい。 家に帰る途中、コンビニでビールを買って、家で一人で祝杯をあげた。はじめてカノジョができたのだ。本当に嬉しかった。ただ、すべてが淡々としすぎていていることが、心の片隅に引っかかっていた。引っかかっていたが、順調に交際が進んでいるのだから問題ないとそれ以上考えるのをやめた。 (第十四話 おわり)

第十四話 はじめてのカノジョ (その2)

デート当日、いつものように自分は一時間前には待ち合わせ場所に到着していた。なぜ、早く来るかと言うと、相手を待てせるのがキライなのと、方向音痴なので事前に目的地を確認しておくためだ。早速、水族館の場所をスマホ片手に確認する。そして、あっさり、入り口を発見する。時間が余ったので、近くの喫茶店に入る。これもいつもの事だった。ただ、最初、アンナミラーズという店に入ろうと思ったが行列ができてたので、別の店にした。都会の喫茶店はいつも混んでいるので困る。 遠坂さんはいつも通り時間丁度に来たので、そのまま、水族館に向かう。そして水族館の入り口で二人分のチケットを買った。何だかカップルみたいで新鮮な気分だ。水族館に入るともうすぐイルカショーが始まるというアナウンスが流れていた。イルカショーなんて今まで一度も見たことがなかったので、遠坂さんに「先にイルカショーを見に行きませんか?」と聞いてみると、遠坂さんも久しぶりだから見たいとう話だったので、急いでイルカショーのコーナーに向かった。 イルカショーの会場に着くとすでに人で溢れていた。それでもなんとか中央のプールが見えそうな隙間を確保できた。もちろん立ち見だがそれは我慢するしかない。 前の方の列では小さい子供たちが透明なビニールのカッパのようなモノを着ていた。やっぱりこういう場所は親子で来るのが似合いそうだ。自分もそういう機会が訪れるんだろうか。子供は好きだが、もう40才を超えているので子供は難しいだろう。子連れの女性とかならアリかも知れない。でも血の繋がっていない子供を好きになれるだろうか。子供の時に虐待された子供は同じことを子供にすると聞いたことがある。もしかしたら自分もそうするかも知れない。そんなことになったらどうすればいい?離婚かな?自分の父親と同じことをして、同じ結果になるのかも知れない。ただ、今は結婚すらしていないのだから、父親以下だ。 初めて見たイルカショーは結構面白かった。イルカのジャンプは体長が大きく思っていたより迫力があった。大きな水しぶきが上がるたびに子供の悲鳴というか歓声が響き渡った。 その後、普通に水族館の中を見て回った。水槽をトンネル状にくり抜いた通路を見上げるとサメやエイなどの大型の魚が泳いでいた。あれ、魚でいいんだっけ?まあ、いいや。暖かい地域のカラフルな魚、寒い地域の地味な色の魚、いろいろいる。それにしても地味な色の魚を見てると寿司を食べたくなってくる。ああ、あのおっきなタラバガニも美味しそうだ。一通り見て回りお腹も空いてきたので、ご飯を食べることにした。