第十話 はじめてのオタク婚活パーティー(その2)
そして、アイムシングルの婚活パーティー当日。会場の新宿歌舞伎町にやって来た。衣服はこの前デパートで買った10万円のを着てきた。会場の入り口の所に行列ができていて受付で会費を支払っていた。自分もお金を用意する。時々、割引券らしき紙を渡してる人や支払っていないように見える人がいた。そもそも女性はタダみたいな会費だったはず。その分、男性が高くなっているんだろう。まあ、この程度の会費で彼女ができるなら全然安い。
席に着くとテーブルの上にプロフィールシートがおいてあった。名前、年齢、年収、そしてオタク婚活らしく趣味や好きなマンガやアニメを書く欄があった。
周りをチラ見すると、みんな、ニックネームやあだ名っぽい名前を書いていたので、自分は大きく「さとう」と書いた。これ以上分かりやすい名前はないだろう。年齢は嘘を書いても仕方がないので、正直に「39才」と書いた。年収は事前に源泉徴収票で確認してメモっておいたがあんまり細かい数字を書いても仕方がないので四捨五入して「900万円」と書いた。2ちゃんねるには婚活では年収が全てみたいな書き込みをよく見るがどこまで信じていいんだろうか。30代40代のサラリーマンの平均年収は300〜400万円と何かで聞いたことがあるがそれと比べれば十分高い年収のはずだ。医者とか弁護士と比べれば低いだろうけど彼らは特殊だろう。
後は、趣味の項目。あんまりマイナーなのを書いても会話につながらないからみんなが知ってそうな有名なのを書いた。アニメやマンガならナウシカ、ゲームならドラクエやFFと書いた。正直に書くと「大和川」とか「ゼロの者」、「ニトロプラス」なのだが、それでは婚活にならないので書かなかった。 ゼロの者 周りを見るとよそ行きの恰好をした男女がプロフィールシートに書き込んでいた。オタクというからアキバでよく見るバンダナ、リュック、ジーパン、スニーカーをイメージしていたが、そんな恰好の人は1人もいなかった。危なかった。タイミングによっては自分がその恰好で出席していたかも知れない。また、小さいテーブルに男女が向かい合って座っていたが、自分のテーブルには女性は誰も座っていなかった。別に異性に避けられるのは慣れているので気にしないことにした。
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