追伸 読書感想「まんがで変わる! 仕事は楽しいかね? 」
サトータロー役の辺野々々・ローロ・茂平次(へのへの ろーろ もへじ)です。
kindle unlimitedで評価が高かったのでこの本を読んでみました。
単純で当たり前のことを、意味深な言葉で置き換えて何か凄そうなメッセージにしているように感じました。
例えば次の文章。
「人生は進化だ 。そして進化の素晴らしいところは 、最終的にどこに行き着くかまったくわからないところなんだ 」 ( 『仕事は楽しいかね ? 』 4 1頁 )
進化は長大な年月を経て生物の種が変化することで、退化することも含まれます。そう考えると、このメッセージが支離滅裂なことを言っているのがわかります。
著者は読者に「毎日の小さな変化の積み重ねによって未来は予想だにしない素晴らしい結果になる」と思わせたいのでしょう。しかし現実の人生は、良いことと悪いことの両方が起きるし悪いことの方が圧倒的に多い。不幸になった人生はどうなるかというと、誰にも省みられない。
本の中にはマイクロソフトのビルゲイツやコカコーラ創業、黒澤明監督などの成功例の紹介があります。しかし、そういった成功例の背後には色々試しても成功に結びつかなかった膨大な失敗例があるはずです。
本では試みることに失敗はないと主張していますが、少なくとも思った結果にならなければ時間と信用を失います。マンガの舞台は個人経営の喫茶店でパート従業員の提案が採用されてことごとく成功するストーリーになっています。これは、買った宝くじが全て当たったからと、他人に宝くじの購入を勧めるようなものです。個人経営の喫茶店はオーナーの趣味/志向が強いだろうから儲かるからと簡単に新しいサービスは始めないでしょうし、個人経営ではスタバなどのチェーン店と競争になれば経営を続けるのは難しいでしょう。
本の中では、当たり前のことを意味深な言葉で置き換えて意図的に読者を誤解させる表現が散りばめられています。変化による結果が常にプラスになるようなことは小説やマンガ、ゲームの世界にしかありません。