独身アラフォー非モテ男の婚活日誌

友達なし彼女なしのアラフォー非モテ男による婚活活動日誌

最終話 はじめてのウェディング(その2)

(はじめての東京ディズニー・シー)
3ヶ月後、アールズの酒造見学で出会った女性、小川さんとディズニーシーに来ていた。その日は平日だったが、休日出勤の代休日で仕事が休みだったので小川さんに休暇を合わせてもらいデート出かけることにしたのだ。
アトラクションの入り口にはロープで長くてジグザグの「道」が作られていたがどれも無人のだった。小川さんはこれまで何度もディズニーランドに来た事があるそうだが、平日に来たのは初めてだったので、感動していた。俺は何十メートルもの行列を想像して休日には絶対来ないぞと勝手に誓った。

あの3日続いたイベントの翌週以降に、3人の女性とそれぞれ食事をした。3人とも好感触でその次も誘えば来てくれそうだったが、結局、小川さんだけ誘った。
小川さんは背が小さく少しふっくらとしていて、帽子が好きみたいで、麦わら帽子とかニットとか毎回違う種類の帽子をかぶっていた。ちなみに自分は帽子なんて一つも持っていない。
2人で最初に会った時の印象は良い意味で「フツウ」だった。特に美人でもブスでもない、ちょっとおっとりした雰囲気の女性だった。しばらく話をして、変だな〜と思ったのは、会話がズレても、途切れても、「フツウ」がずっと続いていたことだった。他の女性と話をしていて、何か変なこと言ったら、怪訝な顔をされて「何コイツ訳わかんない。変な奴。」みたいな顔をされるし、話が途切れたら、何か気まずい雰囲気になるが、小川さんの場合、まったくそういう気配がなかった。たとえは、居酒屋さんで奇数個の料理が出てきたら、普通は気を使い合って「お見合い」になると思う。でも、小川さんとの場合、食べたい人が食べるみたいなことがフツウにできた。別に早い者勝ちじゃないので、「これ貰っていい?」「どうぞ」とか「これ食べていいよ」「じゃあ、貰うね」くらいのやり取りはあるが、そういうのをまったく気兼ねなくできた。それが小川さんの人柄なのか、自分との相性からなのかは、よく分からなかった。彼女が何かに似ているなぁと考えて思い浮かんだのは、七つの大罪のホークだった。

 

七つの大罪(13) (講談社コミックス)

七つの大罪(13) (講談社コミックス)

 

↑表紙右側のブタが「ホーク」 

 

ホークは言葉を話すブタなのだけど、決して善人(ブタだし)じゃあない。どちらかと言えば、小悪人で、水戸黄門でいうハチベエ的な立ち位置だと思うけど、愛されキャラだと思う。それは、自分に正直な俺様キャラでウラオモテがないからじゃないだろうか。小川さんもウラオモテがないように見える。自分は婚活で会った女性から何度も真面目と言われたことがあるし、会社の同僚からは、クソ真面目とかマイペースと言われるので、実際そうなのだろう。だからなのか、イエス・ノーをハッキリ言ってもらったほうが楽だ。大概の女性は正直じゃないし難しいので疲れる。

それから毎週末、小川さんと色んな場所に行ってデートしたが、このフツウさというか自然さは変わらなかった。自分は極度の方向音痴で、スマホの地図を見ながら目的と反対の方向に歩いていることがよくあるが、彼女は特に気にしていないみたいだった。カサをお店に忘れて取りに戻った時も同じ。
彼女はよく「自分は気が利かない」とこぼしていた。最初、何でそんなことを言うのか分からなかったが、彼女が以前付き合っていた人がよく怒鳴る人だったのが原因らしい。その人が彼女に求める「常識」のレベルが高く、そんなことは言われなくてもやって当然、という態度だったらしい。自分も気が効く方ではないし、頼んでもないことをやって貰おうと考えるのは傲慢だと思う。それに怒鳴るのも、怒鳴られるのも嫌いだ。
つまり、自分は彼女に変な期待はしないし、彼女も自分に対してそうなので、たぶん、お互いが楽なのかも知れない。彼女はドジっ子属性を持っていて、小さいトラブルは日常茶飯事だった。喫茶店でコーヒーを頼んで、ミルクを入れすぎて溢れたり、道を歩いていて転んだりした。囲炉裏で炉端焼きが食べられるお店に行った時に、野菜の中に山芋があって、彼女は間違いなく落とすに違いないと思って見ていたら、案の定、「私、こういうのはすぐ落とすから注意しないと、、、あっ!」と言いながら囲炉裏の灰の中に山芋を落とした。あまりにマンガみたいな展開で、スゴイなと思いながら自分の山芋を半分こして食べた。その帰り道、前の彼氏はさっきみたいなことがあるとすぐ機嫌が悪くなって1日気まずくなると言っていた。それは多分、ドジっ子と怒りんぼという二人の相性は最悪だったんじゃないかと思った。
これまでに、スカイツリーみたいな定番の観光地やジョイポリスでも楽しめたので、個人的に前から行きたいと思っていたディズニーランドに行くことにした。ディズニーランドってテレビCMはよくやってるし、今世代の日本人なら一度は行ったことがある場所とい感じがする。
でも、遊園地なのでさすがに一人では行けないし友達も彼女もいないので、ずっと気になっていたが行けないでいた。

小川さんの希望でランドではなくシーになったが、自分には違いがわからなかったので、どっちでも良かった。
最初、ディズニー仕様の電車を見て、ちょっと驚いた。カネかけてるなー、という印象。中に入ってからは、まあ、手の込んだでっかい遊園地に見えた。
小川さんはジェットコースター系はダメなので、主に幼児向けのアトラクションに乗ったが、久しぶりの遊園地は楽しかった。空いてたから並ばなくて済んだのも良かったと思う。
そこは、数年前まで、1Kのアパートでエロゲーをするしか楽しみのなかった自分からすれば、そこままぎれもなく夢の国だった。