読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

独身アラフォー非モテ男の婚活日誌

友達なし彼女なしのアラフォー非モテ男による婚活活動日誌

第十四話 はじめてのカノジョ (その3)

あらかじめ食べログで探しておいたお店のひとつの串焼き屋さんに入った。つくねと日本酒が売りらしい。飲み物を注文した後、適当につくねや串焼きを何本か頼んだ。最近、お店での注文にも慣れてきた気がする。その時、遠坂さんがおもむろに「そろそろ、どうするか決めませんか?」と言った。うーん、どういう意味だろう。この後の予定だろうか。明日は休みなので、多少遅くなっても平気なのだが。それとも来週の予定だろうか。今日は水族館だったから、次は動物園かな。それじゃ、安易すぎるか。遊園地とかもいいかも。天気が悪ければ、映画でもいいし。でもカラオケは避けたい。音痴はそれを聴かされる人だけでなく、当人も不快にさせるからだ。でも、遠坂さんと狭い個室で二人きりというのは、魅力的ではある。目の前では遠坂さんがじっとこっちを見ている。返事を待っているのだ。何か言わないといけない。やっとのことで「何をでしょう?」と言った。その後、遠坂さんからお説教をされてしまった。自分たちは婚活パーティーで出会って何度かデートしただけであること。お互いの目的は結婚なのだから、早く付き合うかどうかを決めて、ダメなら別の人を探さないといけないこと。確かにそうだ。それで、自分としては遠坂さんと付き合いたいと一生懸命説明した。自分にはこれと言って特技や長所はないし欠点ばかりだが悪いところは直すと言った。一応、働いているし人並みの収入もあるから、もし、結婚することになったら専業主婦でも生活できるし、もし、婿養子とか何か条件があるなら、できるかどうか考えると言った。遠坂さんは「佐藤さんが真面目なのは今までのデートで十分分かりました。お付き合いしましょう。そもそも、付き合う気がないならここにいませんよ。」と言った。この時、オレにはじめてカノジョができた。 その後、お腹いっぱい串焼きを食べて店を出た。しばらく歩いた後、勇気を出してずっと気になっていたことを口に出した。 「あのー、手をつないでもいいですか?」 「・・・。」 遠坂さんは手を出してくれたので、その手を握った。何か少し汗ばんでいて思っていたのと違った。そのまま駅までのほんの短い間、手をつないで歩いたが、遠坂さんは力を抜いていて、自分が一方的に手を握っている感じだった。アニメとかマンガなら、手をつないだ途端、ハートマークが湧いてきて幸せでラブラブモードになるはずなのに、現実はえらく素っ気ないものだった。 駅に着いた後、遠坂さんとお別れした。今までと変わらないやりとりだったが、二人は付き合っているのだからカレシ・カノジョの関係のハズだ。まだ、手をつないだだけだから、恋人同士とは言えないが、これから少しづつ進めていけばいい。 家に帰る途中、コンビニでビールを買って、家で一人で祝杯をあげた。はじめてカノジョができたのだ。本当に嬉しかった。ただ、すべてが淡々としすぎていていることが、心の片隅に引っかかっていた。引っかかっていたが、順調に交際が進んでいるのだから問題ないとそれ以上考えるのをやめた。 (第十四話 おわり)