第十二話 はじめての女性からの電話(その2)
そして、翌週の土曜日の日中、とある喫茶店で俺は30才位の金髪碧眼の白人男性と向かい合って座っていた。白人は英語で話す。
「何か新しいことはないのか?」
俺は片言の英語で答える。
「ないよ」
「この後はどうするんだ?」
「女性と一緒にご飯を食べる予定」
「!。その女性って誰だよ」
「まだ、知り合ったばかりでよく知らないんだよ」
「なんだ、もしかしてデートなのか?」
「え、なに?」
「デートだろ?(On a date)」
「まぁ、そうだよ」
英語でもデートって a date でいいんだ。
「よし、今日は英会話はやめてデートのコツを教えてやろう。その方が絶対お前のためになる。必ずいつか俺に感謝することになる」
サボれるのはいいんだけど、あんまり変なこと説明されても面倒だな。
実は週一で英会話をしている。NOVAとかAEONとかではなく、ネットのサービスで、近所の喫茶店で外国人と話をするという内容。俺の正面に座っているのが今の先生。俺の10才下のアメリカ人なのだが、確か日本人と結婚していたはず。この先生、結構、キビシイ。ちゃんと内容を理解してないと、しつこくいろいろ訊いてきて流してくれない。おかげで、TOEICのスコアは毎年上がっているんだが。今日は何の気まぐれか、おかしな流れになっている。