独身アラフォー非モテ男の婚活日誌

友達なし彼女なしのアラフォー非モテ男による婚活活動日誌

第十一話 はじめてのカップル成立(その9)

男女別れて席に座り、希望の異性の番号を紙に書いて司会の人に渡した。自分が書いたのは、当然、遠坂さん、ポニーテールの人、そしてもう一人いた可愛い女性。ただ、遠坂さん以外は反応がなかったので、可能性はほとんど無いと思う。そして遠坂さんはよく分からない。何で自分に話しかけてきたのか、未だに分からなかった。5分くらい待っただろうか。司会の人からカップルの発表があった。今日のカップルは3組だそうだ。20人いて3組ならカップル率は結構高い気がする。それでも、14人は収穫なしなので、カップルになれなかったら落ち込むと思う。そんなことを考えていたら、自分の番後が呼ばれた。えっ。次に呼ばれた女性の番号は遠坂さんの番号だった。マジ!?とりあえず、イスから立ち上がると、遠坂さんも立ち上がっていた。聞き間違えではないらしい。司会者は、おめでとうございます、とか言っていて、周りの人たちは拍手してくれている。未だに信じられなかった。とりあえずイスに座る。残りの番号が呼ばれているが頭に入ってこなかった。そうか、とうとうカップルになれたんだ。ただ、気をつけないといけないのは、まだ知り合ったばかりで、全然、彼女でも何でもないということ。どこかのサイトに書いてあったし、2ちゃんねるにも書いてあった気がする。馴れ馴れしいことはしない様にしないといけない。そもそも、あの遠坂さんに馴れ馴れしいことなんて出来ると思えない。関係というか距離感としては、4seenの合コンで知り合った木村さんと同じくらいと思えばいいのかも。遠坂さんとはまだ連絡先すら交換してないけど。そうだ、この後どうしよう。まだ、晩御飯には早い時間だから、ご飯を食べる訳にもいかないし。確か近くに喫茶店があったから、そこに行こう。もちろん、遠坂さんが行きたいところがあれば、サブウェイでもラーメン屋でもどこでも行くけど。カップルの発表や預けた荷物の返却とかが終わって解散になった。カップルになった6人を除き、女性、男性の順で退室していく。あの身体の大きな女性も他の女性と一緒に退室していった。そして、いよいよ自分たちの番になった。6人で一緒にエレベーターに乗ってビルを出る。あんまりというかほとんど会話はない。ビルを出た後で、遠坂さんから「これからどうします?」と聴かれたので、「近くの喫茶店に行きましょう」と言ってとりあえず喫茶店に行くことにした。そして喫茶店に入ったらさっき別れた2組のカップルもいた。みんな考えることは同じらしい。二人ともアイスティーを頼んで空いているテーブルに座った。座ったけど、目の前に遠坂さんがいると、緊張して全然くつろげない。えーと、何かしゃべらなきゃ。そうだ、気になっていたことを訊いてみよう。
「あの〜、一つ訊いていいですか?」
「何でもきいてもらっていいですよ」
「何でボクを選んだんですか?」
「・・・年収が一番高かったからよ」
「あ、そうですか」
なんか身も蓋もない感じだな。まあ、ハッキリしていていいけど。今回は単に知り合うきっかけとだけ考えて、これから仲良くなっていけばいいんだよな。
その後、遠坂さんがほとんど一方的にしゃべり続けて、気づいたら日が傾きかけていた。それで、そろそろ帰りましょうとなって、連絡先を交換して、駅まで一緒に歩いて行ってお別れとなった。残念なことに遠坂さんはこれから忙しくなるので、しばらく会えないそうだ。時間が取れたら連絡してくれることになった。待ち遠しいなぁ。仲良くなったら、手をつないだり腕を組んだりするんだろうか。よくアニメで腕を組んで胸が当たってみたいなシーンがあるけど、遠坂さんなら間違いなく当たりそうだ。駅で遠坂さんとお別れした後は明るい未来に胸を躍らせながら家に帰った。
 
それから2週間、遠坂さんからの連絡は何もなかった。フェードアウト(※)という言葉が頭をよぎり始めていた。
 
※ 連絡が途絶えることによる関係の自然消滅。
 
 
(第十一話 おわり)