独身アラフォー非モテ男の婚活日誌

友達なし彼女なしのアラフォー非モテ男による婚活活動日誌

最終話 はじめてのウェディング(その2)

(はじめての東京ディズニー・シー)
3ヶ月後、アールズの酒造見学で出会った女性、小川さんとディズニーシーに来ていた。その日は平日だったが、休日出勤の代休日で仕事が休みだったので小川さんに休暇を合わせてもらいデート出かけることにしたのだ。
アトラクションの入り口にはロープで長くてジグザグの「道」が作られていたがどれも無人のだった。小川さんはこれまで何度もディズニーランドに来た事があるそうだが、平日に来たのは初めてだったので、感動していた。俺は何十メートルもの行列を想像して休日には絶対来ないぞと勝手に誓った。

あの3日続いたイベントの翌週以降に、3人の女性とそれぞれ食事をした。3人とも好感触でその次も誘えば来てくれそうだったが、結局、小川さんだけ誘った。
小川さんは背が小さく少しふっくらとしていて、帽子が好きみたいで、麦わら帽子とかニットとか毎回違う種類の帽子をかぶっていた。ちなみに自分は帽子なんて一つも持っていない。
2人で最初に会った時の印象は良い意味で「フツウ」だった。特に美人でもブスでもない、ちょっとおっとりした雰囲気の女性だった。しばらく話をして、変だな〜と思ったのは、会話がズレても、途切れても、「フツウ」がずっと続いていたことだった。他の女性と話をしていて、何か変なこと言ったら、怪訝な顔をされて「何コイツ訳わかんない。変な奴。」みたいな顔をされるし、話が途切れたら、何か気まずい雰囲気になるが、小川さんの場合、まったくそういう気配がなかった。たとえは、居酒屋さんで奇数個の料理が出てきたら、普通は気を使い合って「お見合い」になると思う。でも、小川さんとの場合、食べたい人が食べるみたいなことがフツウにできた。別に早い者勝ちじゃないので、「これ貰っていい?」「どうぞ」とか「これ食べていいよ」「じゃあ、貰うね」くらいのやり取りはあるが、そういうのをまったく気兼ねなくできた。それが小川さんの人柄なのか、自分との相性からなのかは、よく分からなかった。彼女が何かに似ているなぁと考えて思い浮かんだのは、七つの大罪のホークだった。

 

七つの大罪(13) (講談社コミックス)

七つの大罪(13) (講談社コミックス)

 

↑表紙右側のブタが「ホーク」 

 

ホークは言葉を話すブタなのだけど、決して善人(ブタだし)じゃあない。どちらかと言えば、小悪人で、水戸黄門でいうハチベエ的な立ち位置だと思うけど、愛されキャラだと思う。それは、自分に正直な俺様キャラでウラオモテがないからじゃないだろうか。小川さんもウラオモテがないように見える。自分は婚活で会った女性から何度も真面目と言われたことがあるし、会社の同僚からは、クソ真面目とかマイペースと言われるので、実際そうなのだろう。だからなのか、イエス・ノーをハッキリ言ってもらったほうが楽だ。大概の女性は正直じゃないし難しいので疲れる。

それから毎週末、小川さんと色んな場所に行ってデートしたが、このフツウさというか自然さは変わらなかった。自分は極度の方向音痴で、スマホの地図を見ながら目的と反対の方向に歩いていることがよくあるが、彼女は特に気にしていないみたいだった。カサをお店に忘れて取りに戻った時も同じ。
彼女はよく「自分は気が利かない」とこぼしていた。最初、何でそんなことを言うのか分からなかったが、彼女が以前付き合っていた人がよく怒鳴る人だったのが原因らしい。その人が彼女に求める「常識」のレベルが高く、そんなことは言われなくてもやって当然、という態度だったらしい。自分も気が効く方ではないし、頼んでもないことをやって貰おうと考えるのは傲慢だと思う。それに怒鳴るのも、怒鳴られるのも嫌いだ。
つまり、自分は彼女に変な期待はしないし、彼女も自分に対してそうなので、たぶん、お互いが楽なのかも知れない。彼女はドジっ子属性を持っていて、小さいトラブルは日常茶飯事だった。喫茶店でコーヒーを頼んで、ミルクを入れすぎて溢れたり、道を歩いていて転んだりした。囲炉裏で炉端焼きが食べられるお店に行った時に、野菜の中に山芋があって、彼女は間違いなく落とすに違いないと思って見ていたら、案の定、「私、こういうのはすぐ落とすから注意しないと、、、あっ!」と言いながら囲炉裏の灰の中に山芋を落とした。あまりにマンガみたいな展開で、スゴイなと思いながら自分の山芋を半分こして食べた。その帰り道、前の彼氏はさっきみたいなことがあるとすぐ機嫌が悪くなって1日気まずくなると言っていた。それは多分、ドジっ子と怒りんぼという二人の相性は最悪だったんじゃないかと思った。
これまでに、スカイツリーみたいな定番の観光地やジョイポリスでも楽しめたので、個人的に前から行きたいと思っていたディズニーランドに行くことにした。ディズニーランドってテレビCMはよくやってるし、今世代の日本人なら一度は行ったことがある場所とい感じがする。
でも、遊園地なのでさすがに一人では行けないし友達も彼女もいないので、ずっと気になっていたが行けないでいた。

小川さんの希望でランドではなくシーになったが、自分には違いがわからなかったので、どっちでも良かった。
最初、ディズニー仕様の電車を見て、ちょっと驚いた。カネかけてるなー、という印象。中に入ってからは、まあ、手の込んだでっかい遊園地に見えた。
小川さんはジェットコースター系はダメなので、主に幼児向けのアトラクションに乗ったが、久しぶりの遊園地は楽しかった。空いてたから並ばなくて済んだのも良かったと思う。
そこは、数年前まで、1Kのアパートでエロゲーをするしか楽しみのなかった自分からすれば、そこままぎれもなく夢の国だった。

最終話 はじめてのウェディング(その1)

モテキ?!)
その週は祝日があったので、いつもより多く予定を入れた。丁度、上手くイベント開催日が重ならなかったこともあって、アールズ、シングル、アエルラとイベントを3日続けて登録できた。

初日はアールズで酒蔵見学のイベントだった。子供の時から工場見学は好きだったのとお酒を試飲できることが楽しみにしていた。
しかし残念なことに見学した時期にはお酒を作っていなかったので無人のお酒造りの現場の見学することしかできなかった。やはり、工場見学は実際に材料が様々な工程を経て完成に近づいていくのを観察できるのが醍醐味なので言葉でアレコレ言われてもちっとも面白くなかった。
ただ、お酒の試飲は出来た。おちょこみたいな使い捨てのコップに一杯ずつ2種類のお酒を飲んだが、どちらもイマイチだった。原酒とか純米酒とか言われても味では区別がつきそうにない。
見学した後は併設されている居酒屋さんでみんなで二次会となった。男性も女性もお酒が好きな参加者が多かったのか、みんなどんどんお酒を注文していた。人気だったのは3種類のお酒を飲み比べできる、飲み比べセット。自分も飲んでみたが、その中の一つがワインみたいで美味しかったので、帰りに買って帰ることにした。
最後にメアド交換をしてお開きになった。残念なこともあったけど、美味しいお酒が飲めたのでヨシとしよう。
その日のうちに交換したメアド宛に食事に行きましょうメールを出したが、ほぼ全滅した。一人だけ返事が返ってきたので再来週に会うことになった。こういうやり取りにはすっかり慣れてしまい、作業的にできるようになったが、これはこれで良くない気もする。

翌日はシングル。ここは会費が安いが参加者が少なく、またドタキャン率も高く、イベント開始直前にさらに会費が値下げされることもあった。そのせいか男女共に質が低い気がする。それでも40才以上でも参加できる貴重なイベントなので時間があれば参加していた。
しかし、その日はちょっと違っていた。座っていても分かるほど背の高い女性がいた。学生時代はバスケかバレーボールをしていたと誰もが考えそうなことを思ったが、雰囲気は宝ジェンヌだった。その宝ジェンヌさんが回転ずしの後のフリータイムに、なんと自分のところまで来てくれたので話をした。フリータイムで女性の方から話しかけてくれるなんて、遠坂さん以来なんじゃないだろうか。ジェンヌさんは京アニの水泳のアニメのファンだそうで、いろいろ話をしてくれた。話の内容はさっぱりだったが、ファンなのはよく分かった。コスプレもしている様なことを言っていた。やっぱり男役なんだろうか。結局、いつも通りの口下手でフリータイムでは自分の話はあまりできなかったが、そのジェンヌさんとカップルになれた。久しぶりのカップル成立だったので、正直嬉しかった。その後、喫茶店で話をしようと誘ったが、約束があるそうで、断られてしまった。約束があると言われたら仕方がないので、メアドを交換して別れた。なんか嫌な予感がした。その日のうちに、今度、食事に行きましょうとお誘いのメールを送った。


最後はアエルラ。いつもの様に回転ずしで挨拶してフリータイムになった時、1人の女性参加者が向こうからこっちに来て「お話、いいですか?」と声をかけてきた。一も二もなく頷いて話をした。アエルラの場合、最初のフリータイムは女性から男性に声を掛けるルールになっているのだが、いつもは自分のところには誰も来てくれないので、キョロキョロしてる女性を捕まえて話をしていた。女性から声をかけてきてくれたのは遠坂さんぐらいだった。
今回、声をかけてくれたのは、肩まである黒いストレートヘアで、花柄のワンピースに白いカーディガンを着た大人しそうな女性だった。
オタク婚活なので、当たり障りのないジブリの話や好きなマンガの話をした。彼女は自転車のマンガにハマっているらしい。ちょっと興味が湧いたのでKindleにあれば読んでみることにした。その後、この女性とカップルになる事ができ、来週、食事に行く約束をした。

第十八話 イベント婚活での出来事(その6)

(お別れメール)
その後、風鈴作りやオクトーバーフェスト、鎌倉七福神巡り、江ノ島散策等々、文化系、スポーツ系、その他、色んなイベントに参加したが、たいがいメアド交換で終わり、まれに2人で食事に行くこともあったが続かなかった。続かなかったというのは、もちろん、誘っても返事がなかったり断られたりしたということ。一度、イベントとは無関係にメール交換の申し込みがあって何度かメールした後に実際に会って食事をしたことがあった。第一印象はジャガイモに似た顔の人だと思ったが、とりあえず、ご飯を食べていろいろ話をした。翌週、博物館の催し物を2人で見て歩いてまた食事をして帰った。たぶん、決して悪い人では無いのは確実なのだが、どうしても好きになれる気がしなかったので、二度と連絡しなかった。もう少し見た目が可愛かったらとか、何か惹かれるものがあれば、もう少し付き合ってもいいと思えたかもしれないが、実際にはそうではなかった。2週間後くらいに彼女からメールが来たがそれっきりだった。ハッキリとお付き合いできませんと伝えた方が良かったかもしれない。でも、そうしたら、理由を聞きたくなるのが普通だろう。もちろん、相手の欠点を並べるのは簡単だ。外見やスタイルや話し方、動作なんでも文句は書ける。でもそれって事実だけど真実じゃない。一緒にいて楽しいかどうかって、相手の一部だけを見ても決まらないし変わらないと思う。だから、会わない理由を書いても意味がないし、変な誤解をされても困るので、お別れメールは出さなかった。
これまで一度会っただけで続かなかったたくさんの女性たちも同じ気持ちだったのかもしれない。自分の場合、誘って断られた時に何度か理由を聞いたことがあった。その返事は、大抵、曖昧でハッキリしないもので、対策のしようがないものだった。ただ、ほとんどの場合の断られ方は、忙しいから、用事があるからと日程を決められないものだった。そう、要は会いたくない、それだけなんだろう。
それが分かるまでに結構な時間がかかってしまった。

(第十八話 おわり)

 

 

第十八話 イベント婚活での出来事(その5)

プラネタリウム・バー)
学生時代は帰宅部を貫き通し、高校時代も何もしていなかった。実はそれを後悔したことがある。高校を卒業する間際に天文部に入部していればもれなく彼女が付いてくるというまことしやかな噂を聞いたからだ。天文部にクラスが違う知り合いがいたので、卒業前に打ち上げみたいな感じでカラオケに行った時(この時初めてカラオケに行った)、少し話したことがあったのだが、卒業時点でカップル率100%だったそうだ。たまたま、打ち上げに参加していた天文部の女子をみたら可愛かった。理系っぽさが感じられるが十分可愛かった。覆水盆に返らず。今更、天文部に入部できるはずもなく、もう卒業間近でどうしようもなかった。その後、(今考えると恵まれた)共学が終わり、田舎の工業大学に入学したため女子率1/40という限りなく男子校に近い生活が待っていた。会社に入ってからは同年代の女性は皆無だった。
今更ながら星関係って理系の人には合っている気がする。何となく本好きが多そうだし、話も合いそうだ。それでアールズのイベントにプラネタリウム・バーというのがあるので参加してみることにした。バーの中にプラネタリウムがあって星を観ながらお酒が飲めるらしい。ちょっとイメージがわかないが、プラネタリウムもお酒も好きなので大丈夫だろう。いつものようにネットから申し込みをした。
数日後、アールズからメッセージが届いているというメールが来ていた。そんなメールを見るのは初めてだったので、さっそくネットからログインしてみるとプラネタリウム・バーのイベントに参加する予定の女性からのメッセージが届いていた。「私も美術館や博物館を見て歩くのが好きです。イベントまでまだ時間があるのでメールしませんか?」みたいなことが書いてあった。イベント参加申し込み時のコメントに趣味で美術館・博物館巡りと書いておいたのが良かったらしい。とりあえず、すぐに返信する。最近知ったのだが、東京にはたくさんの美術館や博物館があってほとんど毎日、何かしらの特別展をやっていた。話題づくりも兼ねて時間があれば観に行くようにしていた。この女性(浅野さん)はラファエルという昔の画家の絵が好きだそうで、いろんな作品について、文学全集で使われているような難しい言葉で語っていた。浅野さんも絵を描くのだろうか。自分には絵の才能がまったく無いらしく、どちらかといえば写真を撮る方が好きだ。DSの絵心教室もやってみたが、リンゴに見えないリンゴの絵ができた。自分のリンゴの絵とお手本と絵のどこが違うのかすら、わからなかった。全部違うことは分かるが、それじゃあ、絵は上手くならないだろう。実際に会える日を楽しみにしています、と当たり障りの無いメールを送ってイベント当日を迎えた。
イベント開催日の夕方、現地集合だったので開催予定のバーに時に向かった。最寄駅は白金台とかいうところだが、一度も行ったことの無い駅だったので心配だったが、スマホの駅前探索アプリとGPSで迷わず到着できた。お店に入るとアールズの人がいたので受付を済ませた。店内は一見、普通のバーに見えたが、奥の方に確かにプラネタリウムの映写機があって天井は半球状のスクリーンになっていた。そして、二人がけのソファが円形に並んでいる。何人かの人が先に来ていてイスに座っていたので自分も座る。
人もだいぶ増えてきたところで開始時間になった。イベント会社の人が説明を始めた。あとプラネタリウムで星の説明をしてくれる人を紹介していた。飲み物のオーダーをとり、男女交互になるように席替えをする。そして、プラネタリウムが始まった。改めて思ったのはプラネタリウムって天井に白い点が映っているだけなんだなということ。お店の人が時々解説してくれるんだけど、なんだか眠たくなってくる。隣の女性と話をしようにも暗くて顔がよく分からない。そんなこんなでプラネタリウムが一旦終了。その後、席替えとフリートークになったが、プラネタリウムに関係した話は何もなかった。何度目かの席替えで浅野さんに出会えた。浅野さんは座っていても分かるくらい背が小さく小動物のようだった。そして蚊の鳴くような声で話をした。どうも自分は期待ハズレだったらしい。こういうのが目に見えてるから文通とかメル友みたいな婚活は自分に向いていないと思う。その後、何度かの席替えの後、イベント終了となった。この日、参加男性は参加女性のお眼鏡に叶わなかったらしく、二次会はなかった。
イベント前にメッセージをもらったのは初めてだったし、いい雰囲気でメールのやり取りもできていたはずだった。でも、実際に会うと一瞬で終わってしまう。正直、少しは期待を持ってしまうので悲しい。

第十八話 イベント婚活での出来事(その4)

苔玉作り)
スポーツ系はやはり相性が悪い気がしたので、次は文化系イベントに参加してみることにした。昔から運動は全然ダメだった。野球やサッカーのテレビ中継も観ないから、チームの名前を言われてもさっぱり分からない。だから周りでそういう話をしててもついていけない。そんなだからスポーツ系はやめよう。
文化系でもいろいろあったが、苔玉作りにした。家の1Kのアパートにハイドロカルチャーという土を使わない鉢植えがあるので、そこに苔玉を追加するのもいいと思った。前から花屋で苔玉を見かけることがあって、欲しいなと思っていたのでちょうど良かった。
いつものようにネットでイベントに申し込んだ。会場は新宿のカルチャーセンターぽいところで狭い会議室みたいな感じだった。机の上には苔玉に入れるらしい植物の苗が並べられたプレートが置いてあった。スタッフらしき人と参加者らしき人たち数人が部屋にいてイスに座っていた。
申し込み情報から31才の女性が一人いるはずだったが、まだ来ていないようだった。残りはアラフォー女性が5人。少し待って開始時間になると予定していた参加者が揃ったようだった。一人だけ明らかに若そうな女性がいた。あと男性にもイケメンがいた。若くはないが普通にカッコイイ。そのイケメンとその女性が談笑していた。なんかその二人の周りにオーラを発していて割り込めそうな感じがしない。
イベントが始まると、講師の方が簡単に苔玉の作り方を説明してくれた。まず泥だんごを作りそれを二つに割って中に苗を入れて、まただんごにして、だんごの周りに苔を糸で巻いて出来上がりだそうだ。話を聞くと簡単そうだが、実際に作ると難しい気がした。
最初にみんなで苗を選んだ。自分は家のハイドロカルチャーには無い種類であればなんでも良かったので、いかにも草っいう感じの苗にした。苗を決めたら男女ペアになって泥だんご作りを始めた。なんだか童心にかえった感じがして楽しかった。それを二つに割ったら講師の人が中に肥料を入れてくれた。後は苗を入れてまただんごにする。周りを見ると、人それぞれいろんな形のだんごになっていた。その後はいよいよ苔を巻くことになった。苔には2種類あって、床に接する部分とその他の部分で種類が違うらしい。何で違うかはよくわからなかった。最初に床用の苔をプレートから取り出して、てきとうに泥だんごに当てて、糸でぐるぐる巻きにした。同じ巻き方だと泥だんごが崩れるので、向きをいろいろ変えながら巻いた。次にだんご全体に苔を巻いてまた糸でぐるぐる巻きにした。よく分からなかったのは糸をどれだけ巻けば良いかだ。講師の人は後から苔が剥がれてこないように全体によく巻けと言っていたが何回かは言わなかったのでたぶん人によってかなり差が出たと思う。ぱっと見、糸が目立つ。お店で見かけた苔玉はこんなふうじゃなかった気がしたが、苔が成長すれば見た目も変わるのかも知れない。最後にバケツに入った水に苔玉を沈めて完成。泥だんごを水に沈めたらすぐ崩れると思ったが大丈夫だった。苔玉が完成したので、イベント終了。その後、スタッフから二次会の案内があったが、まさかの全員参加。文化系は飲みが好きなのか、それとも付き合いがいいんだろうか。
二次会になったらイケメンとアラサー女性の仲がより深まっているように見えた。なんかすでにデート予定を計画している感じだった。あと、今日が誕生日の男性がいてみんなでおめでとう!のカンパイをした。でも40過ぎた独身の誕生日は微妙だろう。誕生日の男性もこの歳で誕生日を迎えても嬉しくないみたいな事を言っていたが、みんなはノリで「おめでと〜♫」を連呼していた。後はこれまでに参加したイベントの話とか好きなドラマの話とか、好きなタレントの話とかをしたが、自分はテレビを持っていないのでドラマとかタレントの話には参加できなかった。好きなタレントぐらいは決めておいた方がいいかも。ネットで好感度の高いタレントのランキングを検索して好みの女性を選べばいいだろう。まあ、二次元を含めていいなら、うる星やつらラムちゃんとかダーティーペアの髪の長い方とかデモンベインのアルとかサイコガンダムエルピー・プルとかドラゴンボールの18号とかエウレカセブンアネモネとかいくらでも言えるのだが、色んな可能性が消滅しそうなので言わないでおいた。同じ理由でAV女優の乙葉ななせ、紺野ひかる、成瀬心美、友田沙也加、瀬名あゆむも言わなかった。まあ、10年以上前の学生時代にはテレビを観ていたので好きなタレントもいた。たとえば鈴木亜美とか内田有紀とかだけど、今どうなっているんだかさっぱり分からない。
結局二次会で参加女性とアドレス交換できたものの食事のお誘いメールは全滅。あと予想外だったのは苔玉は外で育てないといけないことだった。室内のように風が無い場所に置くとカビが生えてくるらしい。さらに苔玉を置く皿を買ったり、水につけるようのバケツを買ったりと追加の出費がかさんでしまった。そして、毎朝、バケツに水を汲んで苔玉を水没させる作業をすることになった。面倒くさい。

第十八話 イベント婚活での出来事(その3)

(乗馬)
前回のイベントでは、婚活的な意味では収穫がなかったが、ロッククライミングがしてみたいという子供の時からの夢が叶ったので良かったと思う。改めて振り返ってみると婚活というのは成果が見えないので時々辛くなる。婚活パーティーで連絡先を交換してもよく音信不通になるし、デートしても次につながらない。このまま婚活を続けても、手をつなぐより先には進めないかも知れない。でもイベント婚活で以前からやってみたかったことを経験するのも悪くないかも知れない。もちろんそこで彼女が見つかるに越したことはないが、それは可能性が低そうだし、何か成果が欲しい。そうじゃないと続けていく自信がなくなってきた。
そういうことで、イベント婚活の第二弾は乗馬にしてみた。進撃の巨人でも馬は欠かすことのできない「道具」だが、ドラクエやFF、その他の西洋ファンタジーを舞台にした様々なゲーム、漫画、小説、映画でもほぼ必ず登場する。しかし、自分含めてほとんどの人は見たことはあっても乗ったことはないんじゃないだろうか。実はその馬に乗って走ってみたいと密かにずっと思っていた。乗れるかどうかの不安はあるが、北海道出身なので子供の頃からスキーをやっていたので人並みのバランス感覚はあると思うし、テレビなんかを見る限り、足でアクセル、手綱でハンドルとブレーキの役目をしているように見える。ちなみに競馬は嫌いだし興味はない。そういう人たちがイベントに参加したらイヤだな。
イベント申し込みはあっさり完了し、イベント当日に会場に向かった。場所は神奈川県にある乗馬クラブだった。待ち合わせは駅前で閑散としていたので、参加者はすぐ分かった。参加者は男3、女3の合計6人出そうだが、内2人は現地集合だそうだ。乗馬クラブまで歩いていくのだか、参加者の女性と少し話ができた。その女性も最近アールズに参加したばかりで、ボルダリングにも参加したことがあるそうだ。翌日、筋肉痛で大変でしたよね、などとたわいのない話をした。上手くいけば、一緒にボルダリングができるかも知れない。ボルダリングはもう興味はなかったが、デートに誘うネタになるなら全然ありだ。どうやって、さそおうかと考えていたところで乗馬クラブに着いてしまった。
現地集合組と合流し簡単な自己紹介のあと、受付のため自由な時間ができた。それでカメラを持って少し辺りを見て回った。近くの柵の中に白いポニーがいた。あとは少し離れた木造の倉庫みたいな建物の中にたくさんの馬がいた。動物園以外でこんな大きな動物を見るのは初めてだったので新鮮だった。その後、事務所に戻った。
事務所ではブーツと帽子、ジャケットを借りた。帽子は見た目と違いヘルメットみたいな硬さがあった。ジャケットは落馬時に膨らんでエアバッグみたいに体を守ってくれるそうだ。乗馬は思っていたより危険なのかも知れない。少し不安になってきた。
後、嫌なことを聞いてしまった。現地集合組はそれぞれ車で来たそうだ。だから、たぶん彼らは二次会には初めから参加するつもりがないんだろう。それにしても、このイベントの目的は婚活のはずで、二次会以外にメアド交換の機会はないはずなのに、車で来るってどういうことなんだろうか。まあ、一人は男だし、もう一人は吉田羊似のプライドが高そうな女で好みじゃないので気にしないことにした。
そして、いよいよ馬に乗れることになった。男女二人ずつに別れて組になって馬小屋からそれぞれが一頭ずつ馬を連れ出す。それにしても、馬が大きい。身長は2メートル以上ありそうなので見上げる形なるが、口の近くの手綱を持って馬を連れ出す。暴れたらまったく手に負えなくなるだろうなと思いながらも、馬は素直に着いてくる。乗馬クラブのおじさんについて行き、児童公園くらいの大きさの柵で囲われた広場に到着した。ここで乗るらしい。
プラスチック製のビールケースを台にして馬の背に乗った。それにしても昔の人はどうやって馬に乗ったのか疑問に思った。そんな都合よく足場は無いし、持ち歩くのも無理だろう。偉い人が一人でお供がたくさんいるならともかく、騎馬隊みたいにみんなが馬に乗るなら一人で道具なしで乗らないとならない。足にかけるやつに片足を入れて鞍を掴んで登るんだろうか。なんだかボルダリングを思い出す。それで登れないことは無いが、重い鎧とか着てたら無理な気がする。馬の背中に乗るとかなり不安定な感じだった。不安定なだけでなく何も掴まるものがないし足場もない。そして結構な高さがある。上手く説明が難しいが、おしゃれなレストランとかにある床に足のつかない高さ2メートルの丸イスに座っているのに近いかも知れない。乗ったばかりなのにすでに降りたくなってきた。

クラブの人から馬の操作について簡単な説明があった。まあ、大体、想像してたのと同じだった。ちょっと違ったのは馬が全然言うことを聞いてくれないことだ。馬は誰が偉いのかを理解しているらしく、クラブの人の指示に従っているようだった。最初はゆっくり歩いて広場をぐるぐると回った。結構揺れるのでお尻が少し痛かった。なんで鞍にクッションをつけないんだろうか。座布団でもいいからお尻の下に敷きたかった。途中で気づいたのだが、前の馬は普通にウンコしていた。たぶん、自分が乗っている馬も同じことをしているに違いない。落馬したら痛いだけでなく、馬のウンコまみれになる可能性もありそうだ。気をつけよう。
しばらくして、早歩きっぽい歩き方になった。当然、揺れも大きくなるので落ちないように気をつけた。馬って自動車が普及するまでは乗り物だったはずだが、乗り心地は良くない。ハッキリ言うと悪い。慣れたら変わるんだろうか。でも経験者でも落馬はするから、乗り心地悪いのは変わらなそうだ。十分堪能してお尻が痛くなってきた頃に終わりになって馬を降りた。一応、心の中で馬に「ありがとう!」と言った。
広場から馬小屋への帰りも手綱を引いて馬と歩いた。馬小屋の中で馬とのツーショット写真を撮ってもらった。しかし、馬が前を見てくれないので、10枚くらい撮る羽目になった。もう二度とないので、いい記念になったかも知れない。

その後、事務所に戻って帽子やブーツを返したが、ブーツが脱げなくて結局他の人に手伝ってもらって脱いだ。そして最後に参加者みんなで集まってイベント終了になった。イベント会社の人からの二次会の提案は、「私、車なのでこもまま帰ります。」という遅れてきた女性と、「ボクも車なので・・・」という男性の発言をきっかけにみんなそれぞれ思い出したかのように用事があると言い出し、二次会はなくなった。結局、ボルダリング女性とも話す機会がなかった。今回の収穫は、馬とのツーショット写真だけだった。

第十八話 イベント婚活での出来事(その2)

ボルダリング
最初に以前から興味のあったボルダリングのイベントに参加してみた。子供の頃に、テレビで道具を使わずに絶壁の崖を登る外人を見たことがあり、その頃からやってみたいと思っていた。場所は高田馬場だった。そんな都心でボルダリングができるのか半信半疑だったが、実際のジムは普通のビルの中に天井の高い小さな体育館の様な空間があって、壁にはカラフルな変な形の石がボルトでしっかりと固定されていた。昔からスポーツは苦手でスポーツ施設とはまったく縁がなかったので、特定のスポーツのためにこれだけの施設があるということが新鮮だった。参加者が揃うとそれぞれが簡単な自己紹介をした。事前の調査では女性の年令はほとんどが30代後半、ひとりが33才、ひとりが42才だった。ぱっと見、ひとり若そうな女性がいたが喋り方がすごくおっとりしていて訛っているように聞こえたので損してると思った。あと、女性は全員ボルダリングは初めてだったが、男性参加者の内2人は経験者でマイシューズを持参していた。なんか、いきなり出遅れ感が湧いてきた。その後、着替えてジムの会員申込書を書いたり更衣室で着替えたり専用の靴を借りたりした。その専用の靴というのが、丈夫な上靴みたいなものなのだが、中国の纏足(てんそく)みたいで足が痛かった。店の人によると痛いくらいが丁度いいという話だった。
その後、参加者を集めて注意事項と進め方の説明があった。壁は何でもいいから登って良いわけではなく、同じ種類のガムテープが貼ってある石しか使ってはいけないらしい。だから、同じ壁面でも初心者コースと上級者コースが混在している。あと誰かが登っている下には入らないこと等の説明があった。なお、フロア全面に厚さ60センチくらいのソフトマットが敷き詰められていて壁から落ちても痛くない様になっていた。説明のあとは、男女でペアになってボルダリングを開始した。
とりあえず、ペアになった女性に挨拶して、一応、男の方からということで自分が身近な壁に登ることにした。壁には張り付くと、ジャングルジムの要領でなんとか登れたが、足が不安定で怖かった。足場に丁度いい石がないので出っ張りに足を引っ掛ける感じになっているのだが、その状態で手を上に伸ばそうとすると落ちそうになる。実際、一回、足が滑って落ちかけてしまった。それでも何とか落ちずに上まで登れた。その後、女性が挑戦したが途中で動けなくなってしまい、力尽きて、諦めてしまった。これって力の強さ以上に身長とか手足の長さで有利不利がだいぶ違う気がする。
他のコースもいくつか挑戦してみたが、結局、登れたのは最初のコースだけだった。女性も同じ。3,4回登った頃には腕がパンパンに張っていて握力がほとんどなくなっていた。一応、最初に登れたコースをもう一度登ってみたが、壁にしがみついただけで、動けなくなってしまった。そんな状態でペアを交代したが、その女性ももう登る力は残ってなくて、他のメンバーが登ってるのを見ながら話をしていた。
その頃にはほとんどの参加者は登るのを諦めていたが、経験者の男性2人と初心者の女性1人がまだ頑張っていた。経験者の人はともかく初心者でこれだけできるのって凄いんじゃないだろうか。ただ待っているのも暇だったので時々思い出したみたいに登ろうとしたが、とにかく握力がなくて両手でしがみつくことしかできなかった。登るには片手を離して上に手を伸ばさないとならないが、片手を離すと落ちちゃうので手が離せない。
そんなこんなで、すべての異性と組みになった頃にはみんな疲れてすっかりだれていた。そして、一箇所に集まって解散となった。腕がパンパンになって握力がほとんどなかった。
そしたら、司会の人がガラリと雰囲気というかテンションを変えて、「二次会のご案内があります!!」と話し始めた。近所の飲み屋さんを予約しているのでみんなで行きましょうとのことだった。2人の30代を含む女性の半数は「用事があるので、、、」と取って付けたような言い訳をして帰って行った。男性も2人帰ったので、女性2名、男性5名の合計7名で二次会に行くことになった。居酒屋に行く途中、ボルダリングのマイシューズを持っている人と少し話をしたが、そんなに昔からやっているのではなく始めて半年くらいという話だった。意外だったのはこのボルダリングのイベントへの参加自体、初めてではなく何度も参加しているとのこと。ボルダリングが趣味の彼女が欲しいのかも知れない。
居酒屋は和民だった。お店に着いたらイベント会社の人が料理の注文から乾杯の音頭、話題の提供までいろいろやってくれるので楽だった。ただちょっと、声が大きすぎてうるさい。
気がついたら、となりの女性と向かいの男性がいい感じで盛り上がっていた。なんか、趣味のマウンテンバイクの話をしてるらしくて全然話に加われない。もう一人の女性はおばさんだったので、気分は乗らなかったが、とりあえずウンウンと話を合わせる。一時間くらいで女性2人が帰ると言いだしたので、お開きになった。一応、司会者の提案でメール交換はした。
家に帰った後、マウンテンバイクの女性に食事行きませんかとメールしてみたが返事はなかった。まあ、ほとんど話をしていなかったし、仕方がない。
翌日の朝、全身が筋肉痛で起きるのが一苦労だった。